滝田ゆう「カックン親父」第31巻(東京漫画出版社)

漫画家、エッセイストとして活躍した滝田ゆうの出世作「カックン親父」東京漫画出版社から刊行された貸本向け単行本の第31巻です貸本として使用されていた古本で透明のビニールカバーがかけられ巻末にゴム印や管理表を剥がした跡がありますがページの欠けや落書きなどはなく細かい破れや傷みはあるものの保存状態は良好です滝田ゆう(昭和６年～平成２年)は東京の下谷に生まれ玉ノ井の私娼で育ちました昭和24年に「のらくろ」で有名な漫画家田河水泡の内弟子となり昭和27年に学童社発行の「漫画少年」に「クイズ漫画」を執筆しデビューします昭和31年に東京漫画出版社の貸本向け漫画単行本の世界を中心とした執筆活動を本格的に開始し当初は少女漫画などを執筆しながら画風・作風を模索し昭和34年に発表した家庭漫画「カックン親父」が大ヒットとなります以後も東京トップ社から発表した「ダンマリ貫太」などが好評を博しますその後、青林堂発行の「月刊漫画ガロ」に昭和42年から執筆を開始しつげ義春、林静一などとともに同誌の代表的執筆陣の仲間入りをすると昭和43年から45年にかけて半自伝的作品「寺島町奇譚」を発表し昭和47年からは新潮社発行の「別冊小説新潮」に発表の場を移しこの作品は代表作となります次第に漫画誌から文芸誌や中間小説誌に活動の場を移してゆき「滝田ゆう落語劇場」などの代表作を執筆しますが昭和57年に脳血栓で倒れ、復帰後は４コマ漫画から次第に離れエッセイ、イラスト、画文集などを発表またテレビ番組やテレビＣＭなどでも人気を博しました昭和49年「怨歌橋百景」などの作品で文藝春秋漫画賞を受賞また、昭和62年「裏町セレナーデ」で日本漫画協会賞の大賞を受賞するなど日本の代表的な漫画家、エッセイストとして長年活躍した大家です貸本向け単行本はなかなか入手する機会がなくファンには大変貴重なお品だと思います大切にしてきたコレクションですが大事にしてくださるかたにお譲りします昭和漫画ファンのかたいかがでしょうか